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歯周病

抜歯と言われたけど本当に必要?歯を残すための「歯周再生治療」について解説

「歯槽骨(しそうこつ:歯を支える顎の骨)がかなり溶けているので、この歯は抜歯することになるかもしれません…」
歯周病が進行した状態では、このように説明されることがあります。

歯周病は、進行すると歯を支える歯槽骨が溶けてしまう病気です。そのため、重度になると抜歯を告げられるケースもあります。

歯周病

しかし、骨が溶けているからといって、必ずしも抜歯しなければならないわけではありません。条件が整えば、歯周再生療法(PRT:Periodontal Regenerative Therapy)によって失われた骨や歯周組織を回復させ、大切なご自身の歯を残せる可能性があります。

前回は、虫歯が原因で抜歯と言われたケースについてお話ししましたが、今回は、歯周病が原因で抜歯と言われるケースと、歯周組織再生療法の種類、治療の流れ、適応できないケースなどについて解説します。

歯周病で抜歯になるのはどんな状態?

歯周病治療ページでも解説しているとおり、歯周病とは、歯と歯茎にたまったプラーク(細菌のかたまり)が原因で起こる慢性的な炎症のことです。

健康な歯茎の場合、歯と歯茎の溝は2〜3mmになりますが、軽度の歯周病では歯周ポケットは4〜5mm、中等度で5~6mm、重度ではそれ以上

炎症が続くと歯周ポケットは深くなっていき、歯茎だけでなく、歯を支えている歯槽骨が吸収されます。これが「骨が溶けてしまう」という状態です。

歯周病が悪化すると、歯がグラグラする、歯茎が下がる、膿が出る、噛むと痛いといった症状が現れます。そして、以下のような状態になると抜歯が検討されます。

  • 歯が大きくグラグラと揺れる
  • 歯を支える骨が部分的に深く大きく溶けている:垂直性骨欠損(すいちょくせいこつけっそん)
  • 歯の根の分かれ目の骨が大きく失われている:根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)
  • 普通に噛むだけでも歯に過大な負担がかかっている:咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)

歯周病で失われた骨は再生できるのか

歯周病が進行すると歯を支える骨が吸収されていきますが、条件が整えば、失われた骨を再生させることは可能です。そのカギを握るのが、歯の周囲にある歯根膜(しこんまく)という組織です。

歯根膜

歯根膜の中には、骨やセメント質などの歯周組織をつくり直す能力を持った細胞が含まれています。

しかし、歯周病による炎症が続いている状態では、これらの細胞はうまく働くことができません。炎症がおさまった後でも、何もしなければ、骨よりも成長が速い歯茎の組織が先に穴を埋めてしまい、骨が再生するスペースがなくなってしまいます。

こうした問題を解決し、骨の再生を意図的に促すために開発されたのが歯周組織再生療法です。

歯周組織再生療法について

歯周組織再生療法について

歯周組織再生療法は、まず炎症を徹底除去し、専用の材料を用いて、体が本来持っている治癒力・再生力を最大限に引き出すための環境をつくる治療法です。

先ほど、歯周病で抜歯を検討する状態についてお話ししましたが、この中では垂直性骨欠損が再生療法の適用になる可能性があります。

具体的には、以下のような方法があり、患者さんの症状や骨の状態に合わせて選択します。いずれも外科的手術が必要であり、麻酔下で歯茎を切り開いた状態(フラップ手術)で処置を行っていきます。

GTR法(歯周組織再生誘導法)

GTR法(歯周組織再生誘導法)

GTR(Guided Tissue Regeneration:歯周組織再生誘導法)は、歯周組織再生療法の中でも古くから行われてきた方法です。

前述のように、骨の欠損部には、骨よりも成長が速い歯茎の組織が先に入り込んでしまい、骨が再生するスペースがなくなるという問題があります。

GTR法は、メンブレンと呼ばれる膜を設置し、骨よりも速く入り込んでしまう上皮組織を遮断し、歯周組織が再生するためのスペースを確保します。

エムドゲイン

エムドゲイン

インプラントで世界的シェアを誇るストローマン社が提供する再生材料で、主にヨーロッパで1990年代中頃から使用されています。

エムドゲインの主成分は、ブタの歯の芽から抽出されたエナメルマトリックスタンパク質というものです。これは、歯が体の中で形作られる過程で、歯の根の周囲に骨やセメント質を作るときに必要な物質です。

ゲル状にして骨の欠損部に塗布するという比較的シンプルな方法で、歯が作られていたときの環境を再現して、骨やセメント質、歯根膜の再生を促してくれます。保険適用外ですが、垂直性骨欠損に対して良好な成果報告がある治療法でもあります。

リグロス

リグロス

リグロスは科研製薬が開発した歯周組織再生医薬品で、2016年から歯科で使用されるようになり、条件付きで保険適用ができるようになりました。

リグロスの有効成分は、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF-2)という、体の中にもともと存在するタンパク質の一種です。

歯根膜に含まれる再生能力を持った細胞の増殖を促進するとともに、新しい血管を作る作用にも優れています。傷んだ組織に新しい血管ができることで、酸素や栄養が届きやすくなり、骨の再生が効率よく進みます。

ただし、リグロスは、細胞増殖促進作用を有するため、口の中に悪性腫瘍がある方、または既往歴がある方には禁忌となり使用できません。

骨補填材の併用

骨の欠損の状態によっては、人工骨や異種骨を併用し、骨のボリュームの回復を補助していきます。

ご紹介した材料には各々特徴があるため、どの材料が優れているかというよりも、「どのような欠損の時には何を使うか」という診断を適切に行うことが、歯周再生療法のポイントになります。

歯周組織再生療法の流れ

歯周組織再生療法は以下のような流れで行われます。

① 歯周基本治療

歯周組織再生療法の流れ:① 歯周基本治療

まず行われるのが、歯周基本治療です。歯石の除去(スケーリング)、歯根の表面についた汚れを取り除く処置(ルートプレーニング)、ブラッシング指導(TBI:Tooth Brushing Instruction)を通じて、口の中の細菌をできるだけ減らします。

② 炎症のコントロールと再評価

歯周組織再生療法の流れ:② 炎症のコントロールと再評価

歯周基本治療を行った後、歯周ポケットの深さや炎症の状態を改めて検査します(再評価)。この時点で十分に炎症がコントロールされ、再生療法の適応条件を満たしている場合に、手術へ進みます。

③ 外科的再生療法

歯周組織再生療法の流れ:③ 外科的再生療法

歯茎を切開して骨の欠損部を目視で確認し、炎症の原因となっている組織や歯石を徹底的に除去した後、エムドゲインやリグロスなどの再生材料を適用します。手術時間は、部位や範囲によりますが、おおむね1〜2時間程度です。

④ 縫合・治癒期間

手術後は縫合し、治癒を待ちます。骨の再生は非常にゆっくりと進むので、レントゲン上で骨の回復が確認できるようになるまでには約6か月〜1年、骨が十分に成熟するまでには1〜2年以上かかることもあります。

⑤ メンテナンス

歯周組織再生療法の流れ:⑤ メンテナンス

再生した組織を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンス(3〜6か月ごとの通院)が必要です。

炎症が残っている状態では再生は起こりません。また、術後の清掃状態が悪ければ再び炎症が起こります。そのため、術後もプラークコントロールをしっかりと行うことが不可欠です。

このように、歯周再生療法は手術だけの治療ではなく、管理までをしっかり行う治療であることがポイントです。

歯周再生治療が難しいケース

歯周再生治療が難しいケース

垂直的骨吸収の場合は再生療法の適用となる可能性があるとご説明しましたが、歯の周囲の骨が全体的に水平に下がっていく水平性骨吸収は、再生が難しい傾向があります。

このような場合、定期検診などでメンテナンスを行うことで現状維持するか、隣の歯や周囲の骨にまで悪影響をおよぼすリスクがある場合は、抜歯が必要になることもあります。

歯周組織再生療法の成功率を左右する要因

歯周組織再生療法の成功率を左右する要因

再生療法の結果は、以下の要因に大きく左右されます。

  • 喫煙
  • 糖尿病
  • プラークコントロール
  • 咬合力

この中で、特に喫煙は血流を悪化させ、成功率を下げてしまいます。また、糖尿病の方は血糖コントロールが十分にできていなければ手術が難しくなります。

歯周組織再生療法は、歯科医師の技術だけで決まる治療ではなく、患者さん自身によるご協力も必要です。

歯周病が原因でも歯を残せる可能性がある

今回お伝えしたように、歯周組織再生療法は、エムドゲインやリグロスなどの再生材料を用いたり、GTR法を用いたりすることで、歯周病によって失われた歯周組織(骨や歯根膜など)の回復を目指す治療法です。

骨の減り方や身体の状態によっては適用できないケースがありますが、抜歯を告げられた場合でも、ご自身の歯を残せる可能性があります。

「歯周病が原因で抜歯と言われた」「自分にも歯周組織再生療法が適応できるのか知りたい」という方は、大切なご自身の歯を諦める前に、詳しい検査を受けてみてはいかがでしょうか。

桜新町駅前歯科では、患者さん一人ひとりのお口の状態を丁寧に検査したうえで、トータルバランスを考えた治療をご提案いたします。治療に関するご相談だけでなく、毎日の予防ケアに関するサポートもいたしますので、歯に関して気になることがあれば、桜新町駅すぐそばの桜新町駅前歯科へお気軽にお問い合わせください。

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