日本口腔保健協会も、口臭についての啓蒙を行っていますが、スメハラ(スメルハラスメント)という言葉も広まり、何かと『におい』には敏感な今、「もしかしたら、口臭があるかもしれない」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
口臭にはいくつかの種類があり、その原因も様々です。ご自身が気にしているほどではない場合もあれば、実は周囲に不快感を与えている可能性も否定できません。
今回は、そんな気になる口臭の種類と原因についてお話ししたいと思います。
気になる口臭4つのタイプ
口臭は、以下の4つの種類があります。
- 生理的口臭
- 病的口臭
- 外因性口臭
- 心因性口臭
それぞれの特徴を見てきましょう。
生理的口臭
生理的口臭は、病気が原因ではなく、体の自然なリズムや状態の変化によって一時的に発生する口臭です。
例えば、朝起きた時、お腹が空いている時、緊張している時などによく感じられます。これらの状況では、唾液の分泌量が自然と減少しがちです。
唾液には、お口の中を洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりする大切な働きがあるため、唾液が減ると細菌が増え、臭いの元となるガスを発生させやすくなります。
また、女性の場合、月経周期や妊娠などによるホルモンバランスの変化が、唾液の量や質に影響を与え、口臭を感じやすくさせることもあります。
これは誰にでも起こりうる自然な現象なので、過度に心配する必要はないでしょう。歯磨きやうがい、水分補給などで唾液の分泌を促すことで、軽減されることが一般的です。
病的口臭
病気が原因で発生する口臭で、原因の多くはそのほとんどが虫歯や歯周病、歯の清掃不足や入れ歯など、お口の中に潜んでいます。
しかし、まれに鼻や喉の病気(副鼻腔炎(ちくのう症)、扁桃腺の膿など)や、呼吸器系の病気、消化器系の病気、糖尿病(アセトン臭という甘酸っぱい臭い)、肝臓や腎臓の病気(アンモニア臭のような臭い)などが口臭を引き起こすことがあります。これらの場合は、原因となる病気の治療が必要です。
口臭が気になる、歯磨きをしても改善しないといった場合は、まず歯科医院を受診し、お口の中に原因がないかを確認してもらうことが大切です。
外因性口臭
ニンニクやネギなどの食べ物やコーヒー、アルコールなどの飲み物、喫煙など、外部からの要因によって引き起こされる口臭です。
これらの臭い成分の一部は、消化吸収された後、血液に取り込まれて体内を巡り、最終的に肺から呼気として排出されるため、歯磨きだけでは消えにくい場合があります。
原因となる飲食物の摂取や喫煙をやめれば、時間の経過とともに自然に消えていく一時的な口臭です。過度に心配する必要はありませんが、人と会う前などは摂取を控えるなどの配慮が有効でしょう。
心因性口臭
自分に口臭があると思い込んでしまうことから、実際には口臭がないのに自分自身で強く口臭を感じてしまう状態を指します。
過去に口臭を指摘された経験や、周りの人の些細な仕草(鼻をすするなど)を、自分の口臭と結びつけてしまうのがきっかけになることもあります。
他人が自分の口臭をどう感じているかを過度に気にしてしまうため、強いストレスや不安感を抱えることが原因となる口臭といえます。
まずは歯科医院で検査を受け、本当に口臭があるのかどうかを確認しましょう。もし口臭がないと診断された場合は、その事実を受け入れることが大切です。
それでも不安が解消されない場合は、一人で抱え込まず、カウンセリングなど心理的なサポートを受けることも有効です。
口臭の正体は?ニオイの元「揮発性硫黄化合物」とその種類
口臭の種類について解説してきましたが、では口臭の「ニオイの元」はいったい何なのでしょうか?
私たちのお口の中には、たくさんの種類の細菌が常に存在しています。これらの細菌は、食べ物のカスや、お口の粘膜から剥がれ落ちた細胞に含まれるタンパク質を分解して栄養源にしています。
その分解過程で発生するのが、揮発性硫黄化合物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)と呼ばれる、特有の臭いを持つガスなのです。この揮発性硫黄化合物は、硫化水素・メチルメルカプタン・ジメチルサルファイドと呼ばれるものから作られ、以下のような特徴があります。
硫化水素 | 卵が腐ったような臭い |
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メチルメルカプタン | 玉ねぎが腐ったような臭い |
ジメチルサルファイド | 生ゴミのような臭い |
これらは、あくまでニオイの特徴を言葉で表したものですが、お口の中からこのような臭いがするとしたら、やはり気になりますよね。
口臭に含まれる揮発性硫黄化合物のうち、特に硫化水素とメチルメルカプタンの2種類が、その約9割を占めると言われています。また、硫化水素は磨き残しが原因で発生する物質であり、メチルメルカプタンは歯周病菌が原因になります。
病的口臭のサインを見逃さないで!主な原因と今日からできる対策
上でご説明したとおり、口臭の中でも、お口の中や体の病気が原因で発生するものを病的口臭と呼びます。
これは一時的な臭いとは異なり、何らかのトラブルが隠れているサインかもしれません。放置してしまうと、原因となっている病気が悪化することもあります。ここでは、病的口臭を引き起こす主な原因と、それぞれの対策について見ていきましょう。
虫歯
正確には虫歯があることによって口臭が発生するわけではありません。虫歯が原因で歯に穴が空いたり、歯根(しこん:歯の根っこ)に膿が溜まったりすることが口臭の原因になります。
歯に穴が空き、そこに食べかすや磨き残しが詰まることで、細菌が増殖して口臭が発生します。虫歯は放置してもよくなることはありませんので、速やかに歯科医院で治療するようにしましょう。
歯周病
歯周病は歯周病菌により引き起こされます。また、歯周病により炎症を起こした歯茎の中に汚れが溜まることから、出血や膿が出たりすることもあります。
これは口臭の原因となりますので、歯周病治療をしっかりと受け、磨き残しを減らし、健康な歯茎に近づけるようにすることがとても大切です。
汚れが溜まらないように、日々正しい歯磨きを行うこと、そして歯科医院で歯垢(プラーク)や歯石を定期的に取り除くことを心がけましょう。
舌苔(ぜったい)
舌の表面に付着する、白い苔のような汚れである舌苔(ぜったい)も、病的口臭の原因となりえます。
舌苔は、食べ物のカス、剥がれた粘膜の細胞、細菌などが混ざり合ってできたものです。通常でもある程度の舌苔は存在しますが、体調不良や口呼吸、唾液の減少などによって厚く堆積すると、細菌が大量に増殖し、臭いの強いガスを発生させます。
舌苔は舌ブラシを使用してお掃除することができますので、気になる方は使ってみましょう。使用する際は、優しく力を抜いて撫でるように舌に当てるようにするのがポイントです。力を入れすぎると、舌を傷つけてしまう場合もありますので、注意してください。
ドライマウス
ドライマウスは、口腔乾燥症といいます。お口の乾燥も口臭を招く原因の一つなので、なるべく口腔内が乾燥しないように心がけることが重要です。
お口の乾燥を防ぐには、こまめな水分補給や唾液腺のマッサージ、シュガーレスガムを噛むことなどが有効です。ほかにも保湿効果のある洗口液やスプレー、口腔ジェルなども市販されていますので、使用してみるのも良いでしょう。
ただし、ドライマウスの背景に薬の副作用や全身疾患が隠れている可能性もあるため、症状が続く場合は、歯科医師や医師に相談するようにしてください。
入れ歯
入れ歯と歯茎の間には食べかすが詰まってしまいます。そのため入れ歯を不衛生な状態にすると、口臭の原因になります。
入れ歯は毎日、丁寧にお手入れしてください。毎食後に取り外して、流水で専用ブラシを使って清掃し、夜間は専用の洗浄剤に浸けておくのが基本です。歯磨き粉は入れ歯を傷つける可能性があるため、使用を避けましょう。
口臭が気になる方も桜新町駅前歯科にご相談を
ご説明してきたとおり、口臭の原因は全身の病気が影響している場合もありますが、口臭の原因の大半はお口の中にあると言われています。
どのような原因であれ、口臭対策として重要なのはお口の中を清潔に保つことです。丁寧に歯を磨き、磨き残しがないように心がけること、そしてプラークや歯石を放置しないことが、口臭予防だけでなく、虫歯や歯周病の予防にもつながります。
毎日の丁寧な歯磨きはもちろん、自分では落としきれない歯石や磨き残しは、歯科医院での定期的なクリーニングでしっかり除去してもらいましょう。
定期的な歯のメンテナンスが必要な理由とはのコラムでもお伝えしましたが、桜新町駅前歯科では、歯垢や歯石の除去、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)、そして丁寧な歯磨き指導(TBI)によって、患者さんのお口の中を清潔で健康に保つお手伝いをいたします。
ご自身の口臭が気になる、口臭について相談したいとお考えの方も、桜新町駅すぐそばの桜新町歯科・矯正歯科へ、お気軽にお越しください。