きちんと歯磨きしているのに虫歯や歯周病になる…でもデンタルフロスは使うのが面倒で…
このようにお感じの方はいらっしゃいませんか?
実は歯ブラシだけではどうしても落としきれない汚れがあり、それが虫歯や歯周病の原因になることがあります。この落としきれない汚れがたまりやすいのが「歯と歯の間」なのです。
歯ブラシの毛先は届きにくく、プラーク除去率は全体の約60%にとどまることが分かっています。
そこで重要になるのが今回のテーマであるデンタルフロス。デンタルフロスを歯磨き習慣に取り入れることで、歯間の汚れをしっかり落とし、口腔内の健康を守ることができます。
今回は、歯科医師や歯科衛生士がデンタルフロスを推奨する理由と、その種類や正しい使い方についてお話しします。
歯ブラシだけでは落とせない汚れとは?

冒頭でも触れたように、歯と歯の間は食べかすやプラーク(歯垢)が残りやすい場所です。このプラークは細菌のかたまりで、わずか1mgの中に数億もの細菌が潜んでいます。
歯ブラシの毛先は、歯の表面を磨くのには適していますが、狭い歯と歯の間には十分に入り込みません。
お伝えしたとおり、どんなに高級な歯ブラシを使って丁寧に磨いたとしても、歯ブラシだけで除去できるプラークは全体の約60%程度。つまり、残りの40%の汚れは口の中に残り続けているのです。
歯と歯の間は、虫歯のできやすい場所であり、歯周病が最初に進行し始める場所でもあります。歯茎の腫れや出血の多くも、この部分の汚れが原因です。
歯ブラシだけでは届かない、「死角」の汚れを物理的に取り除くために、フロスの使用はオプションではなく、必須のケアなのです。
デンタルフロスを取り入れるべき理由
デンタルフロスを習慣にすると、口腔内の環境は大きく変わります。ここでは、デンタルフロスを取り入れるべき理由を挙げていきましょう。
プラーク除去率が大きく向上する

再三お伝えしたように、歯ブラシだけでのプラーク除去率は約60%にとどまります。半分より少し多い程度しか汚れが落ちていないと考えると、不安になりませんか?
しかし、ここにデンタルフロスをプラスすることで、プラークの除去率は約80〜90%にまで上がります。
虫歯と歯周病を効果的に予防できる

8020推進財団が伝えているように、日本人が歯を失う原因の多くは歯周病と虫歯です。デンタルフロスを使えば、この歯周病と虫歯のリスクを大幅に下げることができるのは大きなメリットです。
皆さんもご存じのとおり、デンタルフロスは決して高額なものではありません。つまり、デンタルフロスは歯を長く残すためのコストパフォーマンスの良い投資と言えるのではないでしょうか。
さらに定期的に歯科検診を受ければ、より効果的にお口の健康を維持できます。
口臭の原因を根本から取り除ける

「口臭が気になる」という悩みをお持ちの方にも、デンタルフロスは非常に効果的です。
歯と歯の間に残った食べかすやプラークは、時間が経つと発酵・腐敗し、お口の臭いの原因と対策方法は?のコラムでもお伝えした、揮発性硫黄化合物(VSC)という臭いの原因物質を発生させます。
デンタルフロスを使うと口臭の発生源を物理的に取り除くことが可能になるため、口臭予防にも効果的です。
デンタルフロスの種類と選び方
「フロスを買いに行ったけど、種類がたくさんあってどれを選べばいいかわからない」。そんな方のために、主な4つの種類とそれぞれの特徴、おすすめの選び方をご紹介します。
ワックス付きフロス

糸にワックス(蜜蝋)がコーティングがされていて滑りが良いため、歯間に通しやすく、初心者におすすめです。歯と歯の間が狭い方でもスムーズに使用できます。
繊維がばらけにくく切れにくいため、初めて糸巻きタイプを使うなら、まずは「ワックス付き」から始めると良いでしょう。また、詰め物や被せ物が多く、糸が引っかかるのが不安な方にも適しています。
ワックスなし(アンワックス)フロス

コーティングが無く、その分、歯の面にしっかり絡みついて汚れを絡め取る効果が高いのが特徴です。ある程度デンタルフロスの使用に慣れてきた方や、歯間の隙間が広めの方に向いています。
テープタイプ

歯に通す部分が糸ではなく、平たいテープ状(きしめんのような形状)になっているデンタルフロスです。
幅が広く、歯の面に密着するため効率良く汚れを落とせます。特に歯の隙間が広い方や歯並びが不揃いな方に適しています。
ホルダー付きフロス

持ち手がついているため扱いやすく、初心者やお子さんでも簡単に使えるデンタルフロスです。F字型は前歯に使いやすく、Y字型は奥歯に届きやすいため、使い分けると便利です。
矯正中の方や、ブリッジが入っている方には、専用のフロススレッダーと呼ばれる糸通しのような補助器具を利用すると、歯の間に通しやすくなります。
このようにデンタルフロスにもさまざまな種類があるため、自分に合ったタイプを選ぶのがポイントになります。もし選ぶのが難しければ、定期健診やクリーニングの際に、歯科医師や歯科衛生士に相談して、ご自身に合うフロスを聞いてみましょう。
歯科医師おすすめ!デンタルフロスの正しい使い方
デンタルフロスはただ歯間に入れるだけでは十分な効果を発揮しません。正しい方法で使うことが大切です。
糸巻き(ロール)タイプの使い方

まず、糸タイプのデンタルフロスの基本的な使い方から見ていきましょう。
- フロスの端を持ち、自分の肘ほどの長さ(約40cm)に切り、両手の中指に巻き付ける。
- 両手の親指と人差し指で2〜3cmの間隔を保ち、ピンと張った状態で歯と歯の間にゆっくり挿入(※)する。
(※無理に押し込むと歯ぐきを傷つける場合があるため、のこぎりのように前後に動かしながら優しく通すようにしてください) - 歯間に入ったら片方の歯に沿わせるようにして上下に数回動かし、歯の側面についたプラークを取り除く。次に隣の歯にも同じように沿わせて清掃する。
歯茎の中にフロスを少し入れるイメージで行うと、歯と歯茎の境目までより効果的に汚れを落とせます。そして、次の歯間に移るときは、中指で糸を少し送り出し、常に新しい清潔な部分を使うようにしてください。
もし、フロスを通した後、ひっかかりがあって引き抜くのが大変な場合は、片手のフロスを指から離し、横に引き抜くようにすると良いでしょう。
ホルダータイプの使い方

ホルダータイプのデンタルフロスは歯間への入れ方と動かし方に気をつけてください。F字型(前歯用)の場合は、前歯に対して垂直に挿入します。Y字型(奥歯用)は、奥歯に対して横からスライドさせて入れるようにします。
どちらの場合も、糸タイプと同様に「のこぎりのように動かしながらゆっくり入れる」ことと、「歯の側面に沿わせて上下に動かす」ことが大切です。
ただ出し入れするだけでは、歯と歯の間の食べかすは取れても、歯の表面にこびりついたプラークは落とせません。
デンタルフロスを使うベストなタイミングは?
理想的には、毎食後の歯磨きと一緒に行うのが一番ですが、忙しい毎日の中でそれは難しいかもしれません。現実的なおすすめのタイミングは、「1日1回、就寝前」です。
寝ている間は唾液の分泌が減り、お口の中の細菌が一気に増殖します。そのため、寝る前にその日の歯の汚れをしっかり落としておくと、歯周病と虫歯の予防につながります。
デンタルフロスを習慣にするためのポイント

デンタルフロスを使うのは面倒そう、時間がかかると感じる方も少なくありません。しかし、習慣にしてしまえば数分でできるものです。以下のようなポイントを押さえつつ、最初は1日おきでも良いので、無理なく取り入れてみましょう。
- 決まったタイミングでデンタルフロスを使う(就寝前がおすすめ)
- デンタルフロスは歯ブラシとセットで置く・目につく場所に置く
- 自分に合ったデンタルフロスを見つける
- デンタルフロスの使用は1日1回から始める
- デンタルフロスを使う際に、家族で声を掛け合ったり、アラームを設定してみる
また、お子さんの仕上げ磨きに親御さんがフロスを使用することで、歯間清掃の習慣を自然に身につけさせることができます。お子さんに対してデンタルフロスを使う場合は、歯科医院で正しい使い方を指導してもらうと安心ですね。
こんな時は歯科医院でご相談を

デンタルフロスを使っていると、気になる症状が出ることがあります。以下のような時は、歯科医院で相談しましょう。
- デンタルフロスがいつも同じ場所で引っかかる・ほつれる
- デンタルフロスを使った後、出血が続く
- 細い糸でも歯間に入らない
フロスが引っかかったりほつれたりする場合は、詰め物や被せ物が合っていない、あるいは虫歯がある可能性があります。
また、使い始めは出血することも多いのですが、2週間以上続く場合は、歯周病が進行しているか、使い方が間違っている可能性が高いといえます。
歯磨き習慣にデンタルフロスを取り入れよう

お伝えしたように、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に落とすことはできません。デンタルフロスを取り入れることで、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らし、口臭予防や歯の寿命を延ばす効果も期待できます。
毎日の歯みがきにデンタルフロスをプラスするだけで、お口の健康状態は大きく変わりますので、少しでも気になる方は、ぜひ歯科医院で相談しましょう。
桜新町駅前歯科では、お一人おひとりに合わせたデンタルフロスの選び方や、効果的な使い方を丁寧にお伝えしています。「自分にはどのデンタルフロスが合っているのだろう?」「この使い方で正しいのかな?」といった疑問やご質問があれば、どうぞお気軽に桜新町駅すぐそばの桜新町駅前歯科へご相談ください、


