子供の乳歯は、やがて抜けて大人の歯である永久歯へと生え変わります。
乳歯には、おおよそ抜ける時期や順番が決まっていますが、生え変わりのタイミングは一人ひとり異なるため、「うちの子は遅いのかな?」「何か異常があるのでは?」と心配になってしまう親御さんもいらっしゃるでしょう。
今回は、乳歯が抜ける時期や順番の目安から、生え変わりの際に注意していただきたいポイントについて詳しく解説します。
乳歯の役割と生え変わりの仕組み

まず、お子さんの歯がどのように生え変わるのか、基本的な仕組みを知っておきましょう。
乳歯には、乳中切歯(にゅうちゅうせっし)・乳側切歯(にゅうそくせっし)・乳犬歯(にゅうけんし)・第一乳臼歯(だいいちにゅうきゅうし)・第二乳臼歯(だいににゅうきゅうし)の5種類があり、上下左右合わせて20本生えています。
乳歯には、食べ物を噛むだけでなく、正しい発音を助けたり、顎の骨の発達を促したりと、たくさんの役割がありますが、もう一つ、とても大切なのが、「後から生えてくる永久歯の場所を確保する」という役目です。
乳歯が適切な時期まで正しい位置にあることで、大人の歯である永久歯がスムーズに生えてくるためのガイド役を果たしてくれるのです。
やがて乳歯はすべて抜け、その奥にさらに永久歯が生えることで、最終的に親知らずを除いて28本の永久歯が生え揃います。
乳歯が抜ける時期

子どもの歯が抜け始めるのは、一般的に6歳頃からで、12歳頃に全ての乳歯が永久歯へと生え変わっていきます。
ただ、冒頭でも触れたとおり、体が大きくなるスピードがそれぞれ違うように、歯の生え変わりのタイミングも一人ひとり異なります。
乳歯が抜ける時期と順番の目安

歯の生え変わりは、おおよそ以下の順番で進んでいきます。あくまで一般的な目安として、お子さんの成長を見守る参考にしてください。
| 抜ける時期の目安 | 抜ける歯の種類 |
|---|---|
| 6歳~7歳頃 | 下の乳中切歯(真ん中の前歯) 上の乳中切歯(真ん中の前歯) |
| 7歳~8歳頃 | 下の乳側切歯(前から2番目の歯) 上の乳側切歯(前から2番目の歯) |
| 9歳~12歳頃 | 下の乳犬歯(前から3番目の歯) |
| 10歳~12歳頃 | 上下の第一乳臼歯(前から4番目の歯) 上の乳犬歯(前から3番目の歯) |
| 11歳~13歳頃 | 上下の第二乳臼歯(一番奥の乳歯) |
繰り返しになりますが、歯の生え変わりについては個人差が大きく、順番もおおよそは決まっていますが、そのとおりになるとは限りません。
時期がずれたり、順番が違うことに過度な心配は必要ありませんが、早期に歯が抜けてしまったり、なかなか生えてこない歯があるような場合は、歯科医院で相談してみましょう。
注意が必要な6歳臼歯

また、最初の乳歯が抜け始めるのとほぼ同じ6歳頃に、乳歯の一番奥に6歳臼歯と呼ばれる最初の永久歯が生えてきます。
小児歯科のページでも解説していますが、この6歳臼歯は奥に生えるため見つけにくく、また生えかけの時期は歯ブラシが届きにくいので、虫歯になりやすい歯です。シーラントなどの予防処置を早期に行うことで、この大切な歯を守ることができますので、6歳臼歯については、親御さんも注意して見てあげてください。
乳歯が抜けそうなサインとは?

乳歯がもうすぐ抜けるという一番分かりやすいサインは、歯がグラグラと揺れ始めることです。
歯周病で大人の歯が抜ける場合は、歯を支える骨が溶けてしまうことが原因ですが、乳歯の生え変わりは全く仕組みが異なります。
永久歯が乳歯の根っこを吸収していくため、最終的に歯の頭の部分(歯冠)だけがポロっと取れるのです。抜けた乳歯をよく見てみると根っこがほとんどなく、短くなっています。
そして、乳歯が抜けた歯茎からは、しばらくすると新しい永久歯が顔を出し始めます。
生え変わりの時期に注意していただきたいこと
歯が抜けるタイミングで、いくつか注意していただきたいポイントがありますので、親御さんはしっかりと押さえておきましょう。
乳歯は生え変わるから虫歯になってもいいという考えはNG

「乳歯は生え変わるから、虫歯になっても大丈夫」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、同じく小児歯科のページでお話ししたように、乳歯の虫歯を放置してしまうと、進行してしまい、下の永久歯に影響する可能性もありますので、そのままにしてはいけません。
時には「歯のグラつきも見られ、もうすぐ抜ける歯なのでそのままで様子を見る」というケースもあり、その場合は歯科医師の指示に従っていただくことになるでしょう。
ただし基本的には、お子さんの大切な永久歯を守っていくために、乳歯の虫歯は「そのうち抜けるから」と放置せず、見つけたらすぐに小児歯科で適切な処置を受けるようにしてください。
乳歯が抜けずに永久歯が生えてきた場合

乳歯がまだ抜けていないのに、その裏側や横から永久歯が生えてくることがあります。これを二重歯列といいます。
二重歯列は、永久歯が生えてくる位置が本来の場所から少しずれているために、乳歯の根っこがうまく吸収されずに残ってしまった場合に起こります。
自然に乳歯が抜けることもありますが、抜ける気配がなければ、歯科医院で抜歯が必要になるケースが多い症状ですので、乳歯が抜けずに永久歯が生えてきて、2本重なっている場合は、歯科医院を受診するようにしましょう。
時期が過ぎても乳歯がグラグラもせず、残っていたら?

「通常であれば抜ける時期に抜けもせず、グラグラもしない」というケースもあります。これを乳歯の晩期残存(ばんきざんぞん)と呼びます。
そのような場合には、下にあるはずの永久歯が欠損している可能性があるかもしれません。生えてくる永久歯がなければ、乳歯の根っこは溶かされず、いつまでもグラグラせずに乳歯が残ってしまうこともあります。
永久歯の有無は、レントゲンを撮ればすぐに確認できますので、気になる場合は歯科医院に相談しましょう。もし永久歯がないと診断された場合は、その乳歯をできるだけ長く使い続けるためのケアが必要になってきます。
晩期残存については、提携医院であるポラリス歯科・矯正歯科の乳歯が抜けない原因とその対処法のコラムを併せてご参照ください。
ご家庭で行う生え変わり時期の大切なケア

抜けそうでグラグラしている歯の周りの歯茎は、炎症が起きやすく、腫れやすい状態です。汚れが溜まりやすい箇所でもありますので、歯磨きを丁寧に行うようにしましょう。
永久歯は、生えかけのタイミングが一番虫歯になりやすいとされており、親御さんの仕上げ磨きがとても大切になってきます。
生えかけの歯は歯磨きも難しいですが、周りの歯茎を痛めないように優しく歯ブラシを当て、フッ素入りの歯磨き粉を使用して虫歯予防をしていきましょう。
お子さんの成長を温かく見守り、気になることがある時は桜新町駅前歯科へ

生え変わりの時期や、歯の抜けそうな状況に異常がないかなどは、お子さんや親御さんご自身で判断するのは難しいものです。
歯科医院の定期検診では、生え変わりに異常がないかどうかをチェックすることができます。フッ素塗布やクリーニング、シーラントなどの虫歯予防のための処置と併せて、生え変わりについても歯科医院で経過を見ていくことをおすすめします。
桜新町駅前歯科の小児歯科では、お子さんの成長段階に応じた、適切な治療とケアを行っています。歯医者に不慣れなお子さんでも問題ありません。親御さんを交えて、お話をじっくりお聴きしながら、生え変わり時期の管理から予防処置まで、お子さんの健やかな口腔発育をサポートいたします。
お子さんの歯の生え変わりについて、気になる点やご不安・ご質問がありましたら、桜新町駅すぐそばの桜新町駅前歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。

