インプラントは、歯の外見、そして噛み合わせなどの機能を本来の歯に近いレベルで回復できるうえに、耐久性にも優れた治療法です。歯が蘇ったかのような感覚を得られるため、第二の永久歯と表現されることもあります。
しかし、インプラントは人工物です。治療が成功し、理想的な状態に仕上がったとしても、長持ちさせるためには、車や家と同じように、インプラントにも定期的な点検とケアが必要なのです。
今回は、なぜインプラント治療後のメンテナンスが重要なのか、その理由と具体的なメンテナンスの内容についてご紹介します。
インプラントのメンテナンスが大切なのはなぜ?
インプラント周囲炎の予防と早期発見につなげるため
インプラント治療を行った後、注意しなくてはならない病気にインプラント周囲炎があります。これは、インプラントの歯周病といえる病気で、インプラントを支える周りの組織に炎症を引き起こします。
歯周病が進行すると歯が抜け落ちてしまうように、インプラント周囲炎が進行すると、せっかく入れたインプラントが脱落してしまう可能性が出てきます。
インプラント周囲炎は、インプラントの寿命を短くしてしまいかねない病気なのです。しかし、厄介なことに、インプラント周囲炎は、始めのうちは自覚症状がほとんどないのでなかなか気付けません。
だからこそ、定期的なメンテナンスが重要になってきます。インプラントのメンテナンスでインプラント周囲炎を早く発見できれば、インプラントを長持ちさせることにつながります。
インプラント周囲の歯を守るため
インプラント周囲に付着したプラーク(歯垢)は、インプラントの隣にある歯の虫歯や歯周病を引き起こす原因となります。
また、インプラントの噛み合わせが強すぎると、噛み合う側の歯に負担がかかり、ダメージを与えてしまうこともあります。ダメージがひどい場合は、歯が欠けたり割れたりする原因にもなりかねません。
定期的なメンテナンスでインプラント周囲を清潔に保ち、噛み合わせを調整することで、インプラントと残っている歯を健康な状態で維持できます。
インプラントの保証
インプラント治療には、保証制度を設けている歯科医院が多く、保証期間内にトラブルが発生した場合、無償または割引価格で再治療を受けられます。
保証内容は歯科医院によって異なりますが、多くの場合、保証を受けるための条件として、定期的なメンテナンスを受けていることが定められています。
桜新町駅前歯科では、世界的トップメーカーであるストローマン社のインプラントを使用していますが、もちろん保証がありますので、安心してご相談ください。
インプラントのメンテナンスで確認することは?
それでは、歯科医院で行われるインプラントのメンテナンスは、どのようなことを確認するのか、具体的に見ていきましょう。まずインプラントに異常がないかどうかを調べるため、以下のような検査を行います。
プラークコントロールの状態
インプラント周囲炎の原因は、自然の歯の歯周病と同じく、インプラントの周囲に付着したプラーク(歯垢)です。
プラークコントロールとは、プラークを取り除いてきれいな状態にすることです。インプラントのメンテナンスでは、インプラント周囲だけでなく、残っている天然歯も含め、お口全体のプラークコントロールができているかを確認します。
プラーク付着の有無や、付着している箇所や量を、染色剤などを使って確認していきます。
インプラント周囲の歯肉の状態
インプラント周囲炎は、自然の歯の歯周病と同様に、歯肉炎から始まります。そのため、インプラントのメンテナンスでは、インプラント周囲の歯肉に腫れや赤み、出血などの炎症の兆候がないかを確認することになります。
出血の有無は、専用の器具を用いて、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット内)を優しく触って確認していきます。
インプラント周囲のポケットの深さ
インプラント周囲炎になると、インプラント周囲の骨が吸収されて減少してしまうため、インプラントと歯肉の間の隙間であるポケットが深くなります。
メンテナンスではプローブと呼ばれる目盛りのついた専用の器具を使って、インプラント周囲のポケットの深さを計測します。
通常、健康な状態であれば、ポケットの深さは1~3mm程度です。しかし、インプラント周囲炎が進行するとポケットが4mm以上になることもあり、深ければ深いほど炎症が進行していることを意味します。
膿の有無
インプラントの周囲組織に細菌感染が起こると、炎症反応として、腫れや痛みに加えて膿の排出も見られるようになります。
インプラントのメンテナンスでは、指で歯肉を優しく押して検査します。もし膿が認められれば、インプラント周囲に細菌感染が起こっていることが分かります。
インプラントの安定性
インプラント周囲炎が進行し、インプラントを支える周りの骨が吸収されると、インプラントを支える力が弱まり、最終的にはインプラントがグラグラと動くようになります。これを動揺といいます。
インプラントのメンテナンスでは、動揺が生じていないかどうかを確認します。インプラントが動揺しているということは、インプラント周囲炎がかなり進行している可能性が高く、早急な対処が必要です。
レントゲン撮影
インプラント周囲の骨の状態は、外から見ただけでは正確に把握できません。そのため、インプラントのメンテナンスでは、定期的にレントゲン撮影を行い、骨の状態に異常がないかを確認します。
インプラントのメンテナンスで行う処置
続いては、検査後に行われるインプラント周囲炎を防ぐための処置についてお話ししていきましょう。
スケーリングとルートプレーニング
スケーリングとルートプレーニングは、歯石を除去する処置です。
インプラント周囲に付着したプラークも、天然歯と同じように、時間が経つと唾液に含まれるミネラル成分などと結合し、硬い歯石へと変化します。
歯石の表面はザラザラしているので、新たなプラークが付着するための足場となり、細菌の温床となってしまいます。ですから、歯石はインプラント周囲炎を予防するうえで、確実に取り除かねばなりません。
ところが、インプラントの歯石もインプラントにしっかりとくっついているので、歯磨きではなかなか取れません。そこで、インプラントのメンテナンスでは、スケーラーと呼ばれる専用の器具を用いて、歯石を徹底的に除去します。
スケーリングでは、歯肉より上の部分に付着した歯石を、ルートプレーニングでは、歯肉の下に付着した歯石を除去します。
咬合調整(こうごうちょうせい)
インプラントは、オッセオインテグレーションによって骨としっかり結合しているため、動くことはありません。
しかし、インプラントと噛み合う天然歯は、歯根膜という薄いクッションのような組織を介して骨とつながっているため、わずかに動く性質を持っています(インプラントは人工歯のため、歯根膜がありません)。
このため、時間の経過や歯の治療など、様々な要因によって噛み合わせが少しずつ変化する可能性があります。たとえば、インプラントに強い力が集中するような状態になると、インプラントの寿命が短くなってしまうこともあるのです。
そこで、インプラントのメンテナンスでは、噛み合わせを確認し、必要に応じて噛み合わせのバランスを整える咬合調整(こうごうちょうせい)を行います。
歯とインプラントのクリーニング
スケーリングで歯石を取り除いた後は、プラークをきれいに取り除くために、歯の表面を専用の機械と歯磨きペーストで磨きます。
歯とインプラントの表面がきれいになると、新たなプラークが付着しにくくなります。さらに、歯磨きによるプラークコントロールがしやすくなるというメリットもあります。
クリーニングは、インプラント周囲炎の予防と、セルフケアの効率アップという、一石二鳥の効果が期待できるのです。
また、歯がきれいになるクリーニングは、大変気持ちの良い処置です。 歯の表面がツルツルになり、爽快感を味わえるため、定期的なメンテナンスのモチベーションアップにもつながります。
桜新町駅前歯科はインプラントが長持ちするよう徹底サポート
今回は、インプラントのメンテナンスの重要性について解説しました。インプラントは自然の歯のような噛み心地と、見た目の美しさを手に入れられる優れた治療法ですが、決してメンテナンスフリーではありません。
桜新町駅前歯科では、患者さん一人一人のお口の状態に合わせた、インプラントのメンテナンスプログラムをご提案します。また、生活習慣に関するアドバイスなども行い、お口の健康だけでなく全身の健康もサポート行っています。
実際のインプラント治療だけでなく、現在使用しているインプラントの状態が気になる方や、他院で治療したインプラントのメンテナンスをお考えの方など、インプラントに関するご質問やご相談がございましたら、お気軽に桜新町歯科へお問い合わせください。