「歯の治療は痛そうで苦手…」
「前に麻酔をした時、痛みを感じた…」
「麻酔が効きにくい体質で困っている…」
そんなお悩みをお持ちの方は少なくありません。
もちろん桜新町駅前歯科では、痛みに徹底配慮した治療を行っています。歯科の麻酔は、痛みを抑えて安心して治療を受けていただくための大切なステップですが、実はそんな麻酔にもいくつか種類があることをご存じでしょうか?
欧米ではメジャーな麻酔薬が2024年9月に日本でも製造販売承認
2024年9月、日本でついにアルチカインという新しい麻酔薬が製造販売承認されました。商品名はセプトカインといいます。この麻酔薬は、欧米では数十年前から使用されており、アメリカでは約40%のシェアを占める主流の麻酔薬です。
今回は、そんなアルチカイン麻酔について、どうして痛みを感じにくくなるのか、従来の麻酔との違いは何かといったことについて解説します。
そもそも歯の治療で使う麻酔とは?

歯科で使う麻酔は、局所麻酔と呼ばれるものです。これは治療する部分だけの感覚を一時的に止める麻酔で、全身麻酔のように眠るわけではありません。
局所麻酔は、虫歯治療や抜歯、歯周病の処置、インプラント手術など、歯科のほとんどの治療で使用されます。麻酔をすることで、痛みや不快感を抑え、患者さんが安心して治療を受けられるようになります。
これまで日本では、リドカイン(※)という局所麻酔薬が主流でした。商品名でいうとキシロカインやオーラ注がこれにあたります。リドカインは1948年に製品化され、70年以上にわたって世界中で使われてきた実績のある麻酔薬です。
しかし、近年ではより効きが早く・しっかり効くアルチカイン(セプトカイン)を採用する歯科医院が増えています。
(※)リドカインについては、提携医院である町田歯科・矯正歯科の麻酔後に動悸がするのはなぜ?のコラムで解説しておりますので、興味のある方はご参考になさってください。
アルチカインってどんな麻酔?

では、今回のテーマであるアルチカイン(セプトカイン)についてお話していきましょう。
アルチカイン(セプトカイン)は、歯科用の局所麻酔薬のひとつです。正式にはアルチカイン塩酸塩・アドレナリン酒石酸水素塩注射液といいます。冒頭でもお伝えしたように、日本では2024年9月に製造販売承認されたばかりですが、実は1969年にドイツで開発され、1976年から臨床使用が始まった歴史ある麻酔薬なのです。
世界中で広く使用されており、特にヨーロッパでは最も一般的な歯科麻酔薬とされています。このように、海外では何年も前から使用されていますが、日本で製造販売承認が下りたのは2024年の9月と、まだ最近です。
アルチカインの特徴は「浸透力」と「即効性」

アルチカイン(セプトカイン)の最大の特徴は、浸透力の高さと体内での分解の速さです。
アルチカイン(セプトカイン)は脂に溶けやすい性質(脂溶性)を持っており、骨の中にも浸透しやすい構造をしています。歯の神経は硬い骨に囲まれているため、麻酔薬が届きにくいのですが、アルチカイン(セプトカイン)なら骨を通り抜けて神経までしっかり届きます。
そのため、従来の麻酔が効きにくかった下の奥歯などでも、しっかり効果を発揮できるのです。「麻酔をしたのに痛い」「麻酔を打ってもなかなか効きづらい」という経験をされたことがある方もいらっしゃるかもしれません。アルチカイン(セプトカイン)はそのような方たちにも安心して使っていただけます。
さらに、アルチカイン(セプトカイン)は注射してからわずか1〜2分ほどで効果が現れるため、治療を始めるまでの待ち時間が短く、スムーズに処置に移れます。
アルチカインが早く・しっかり効く理由は?

先ほども触れましたが、アルチカイン(セプトカイン)がここまで優れている理由は、その分子構造にあります。
少し難しい話にはなってきますが、ほかの麻酔薬と違い、アルチカイン(セプトカイン)は分子内にチオフェン環という脂溶性の高い構造を持っています。
これが、薬が骨や神経の周囲にしっかりと届く浸透力を生み出しているのです。そのため、下顎のように骨が厚く麻酔が届きにくい場所でも、浸潤麻酔だけで十分な効果を得られるようになります。
また、これらの作用発現が早いため、「麻酔が効くまでの時間が短い」「治療中に『まだ痛い』という感覚を感じることが少ない」といったメリットがあります。
さらに、アルチカイン(セプトカイン)は血液中でも分解されやすく、体に薬が残りにくいという点も安心材料のひとつ。麻酔が切れた後の違和感が少なく、体に負担をかけにくい麻酔薬と言えるでしょう。
アルチカインとリドカインとの違い

これまで日本の歯科で長く使われてきたリドカインと、アルチカインを比較してみましょう。
| リドカイン (キシロカイン等) |
アルチカイン (セプトカイン) |
|
|---|---|---|
| 効き目の早さ | 2~3分程度 | 約1~2分 |
| 浸透性 | 骨には届きにくい | 骨にも届きやすい |
| 代謝 | 肝臓で代謝される | 血液中でも分解される |
| 効果の持続性 | 約60~90分 | 約45分~75分 |
| 主な使用部位 | 一般的な治療全般 | 下顎の奥歯など麻酔が効きにくい部位 |
どちらが優れているというよりも、治療内容や部位によって最適な麻酔を使い分けることが大切です。
たとえば、上の歯や歯茎など浅い部位にはリドカインでも十分ですが、骨が厚い下の奥歯などにはアルチカイン(セプトカイン)が効果的といえます。
アルチカイン麻酔の注意点
「よく効く麻酔」と聞くと、体への負担を心配する方もいるかもしれません。
しかし、アルチカインは50年以上の使用実績があり、93の国や地域で使用されている、安全性が確立された麻酔薬です。正しい方法で使用すれば、副作用のリスクは従来のリドカインと同等かそれ以下とされています。
起こりうる副作用は?

アルチカイン(セプトカイン)は体内で速やかに分解されるため、薬が長く残ることはありませんが、まれに麻酔が切れた後に以下のような症状が現れることがあります。
- 注射部位の軽い痛みや腫れ
- 一時的なしびれや違和感
- 口内炎のような症状
ただ、これらの症状の多くは一時的なもので、時間が経てば自然に改善します。もし症状が長引く場合は、歯科医院に相談するようにしましょう。
使用に注意が必要な方

妊娠中の方や持病・アレルギーのある方は、使用する麻酔薬の種類を慎重に選ぶ必要があります。
アレルギーに関しては、従来のリドカインも、今後さらに使用が拡大されていくとされるアルチカインも、どちらもアミド型局所麻酔薬と呼ばれるものです。そのため、アミド型局所麻酔薬に対してアレルギー反応を起こしたことがある方には使用することができません。
歯科医院では事前に問診を行い、体調や既往歴を確認してから使用していますので、心配なことは遠慮なく伝えることが大切です。
アルチカインは痛みに弱い人や麻酔が効きにくい人にもおすすめ

今回お伝えしたように、「麻酔をしても効きにくい」「途中で痛みを感じてつらかった」という方には、浸透性が高く、しっかり神経まで届くアルチカイン(セプトカイン)麻酔が大きな助けになります。
桜新町駅前歯科でも、アルチカイン(セプトカイン)麻酔を導入してから、その効果を実感しています。また、効きが早いため治療までの時間が短く、緊張している時間も少なく済みます。
痛みに敏感な方や、過去に麻酔が効きにくかった経験のある方にとって、アルチカイン(セプトカイン)は、より快適な治療を可能にしてくれる一助となるでしょう。
アルチカインが歯科治療の新たな選択肢に

今回お伝えしたように、アルチカイン(セプトカイン)は以下の3つの特長を兼ね備えた、信頼性の高い麻酔薬です。
- 効きが早い
- しっかり効く
- 体にやさしい
昨年の製造販売承認により、ようやく日本の患者さんも世界標準の麻酔薬を選択できるようになりました。今後、多くの歯科医院で導入が進むと予想されます。
「歯の治療が怖い」「麻酔が効きにくい気がする」と感じていた方でも、アルチカイン(セプトカイン)を使うことで、より安心して治療を受けられるようになるはずです。
桜新町駅前歯科では、患者さん一人ひとりの体調や治療内容に合わせて、アルチカインを含む複数の麻酔薬から最適なものを選び、安全に使用しています。治療時の痛みや、麻酔について不安がある方も、桜新町駅すぐそばの桜新町駅前歯科にお気軽にご相談ください。


