「口がよく乾く」
「口の中がネバネバする」
「食べ物が飲み込みにくい」
「もしかして口臭がするかも」
「舌がヒリヒリ痛い」
このようなお口の不快感、気になっていませんか?
もしかしたら、それはドライマウス(口腔乾燥症)かもしれません。
ドライマウスは、唾液の分泌量が減ることでお口の中が乾燥してしまう状態を指します。今回は、ドライマウスがなぜ起こるのか、どのような症状が現れるのか、また、自分でできる対策について解説していきます。
ドライマウスの原因
冒頭でも触れたように、ドライマウスは口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)とも呼ばれ、様々な原因により唾液の出る量が減ってしまい、口の中が乾燥する病気です。
唾液の分泌量が減ってしまう原因は様々ですが、主な理由として、以下のようなものが挙げられます。
- 強いストレスや緊張
- 加齢による唾液腺機能の変化
- シェーグレン症候群のような自己免疫疾患
- 服用している薬の副作用(降圧剤、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬など)
- 腫瘍や外傷による唾液腺や神経へのダメージ
- 重度の糖尿病
唾液について
まず、ポイントとなる唾液についてご説明しましょう。唾液は、お口の周りにある唾液腺(だえきせん)という器官で作られ、分泌されます。
唾液腺には、大きなものが左右に三対あり、これを大唾液腺(だいだえきせん)といいます。この他にも、お口の粘膜には小唾液腺(しょうだえきせん)と呼ばれる小さな唾液腺がたくさん存在しています。
3つの大唾液腺
代表的な3つの大唾液腺は、それぞれの位置と、作る唾液の性質が少し異なります。
耳下腺(じかせん)
耳の前下あたりにある大きな唾液腺です。主に、さらさらとした性質の唾液(漿液性唾液:しょうえきせいだえき)を分泌します。
顎下腺(がくかせん)
下の顎の内側、顎の角の少し前あたりにある唾液腺です。さらさらした唾液とねばねばした唾液(粘液性唾液)の両方を分泌します。
舌下腺(ぜっかせん)
舌の真下にある唾液腺です。主に、ねばねばとした性質の唾液を分泌します。
唾液の大切な役割
健康な大人の場合、唾液は1日に約1リットルから1.リットルも分泌されると言われています。折に触れて桜新町駅前歯科ブログでもお話ししてきましたが、唾液には、以下のようにお口や体の健康を守るための大切な役割があります。
- 味を感じるための重要な働き
- 唾液に含まれる酵素により食べ物を消化しやすくする働き
- 飲食により酸性に傾いたお口の中を中性に戻す働き
- 酸性になったお口の中で歯の再石灰化を促進する働き
- 歯の洗浄作用やお口の中の抗菌作用
- お口の中の粘膜を保護する働き
唾液不足でドライマウスやその他の悪影響が
このように、お口の中で大切な役割を担う唾液ですが、それが不足すると、様々な悪影響をもたらします。
唾液不足になると、ドライマウスになってお口の中が乾いたりネバついたりするだけでなく、口臭が発生しやすくなったり、話しにくくなったり、食べ物の咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ;飲み込むこと)がスムーズにできなくなるといった症状も出るようになります。
また、ドライマウスで唾液の分泌が減り、お口の中が乾燥すると、細菌が増殖し、虫歯や歯周病になりやすい環境にもなるので、注意が必要です。
他にも、入れ歯を使用していらっしゃる方は、お口が乾燥することによって、入れ歯を上手くはめることができなかったり、擦れて痛みが出たりする場合もあります。
ドライマウスの症状を和らげ、予防する6つの方法
ではここからは、ドライマウスの症状を和らげ、お口の乾燥を防ぐために日常生活でできることをご紹介します。
1.よく噛んで食べる
食べ物をよく噛むことで唾液の分泌が促されます。消化も助けますので、一口ごとに回数を意識してみましょう。
2.こまめな水分補給
唾液は体の水分から作られています。そのため、こまめな水分補給で体内の水分を保つことが大切です。唾液が出にくいと感じる方は、特に意識して水分を摂取するように心がけましょう。
虫歯の初期症状についてのコラムでも解説したとおり、虫歯予防の観点からは、ジュースや甘いスポーツドリンクではなく、水やお茶などがおすすめです。
3.ガムを噛んだりお口の保湿ケアを行う
食事以外の時はガムを噛んだり、うがいをしたりすることでお口の中を潤すことができます。唾液が減ることによって、お口の中に痛みが出ている方などにおすすめです。
また、ドライマウスが気になる方向けの口腔ジェルや口腔保湿剤を使ってみるのも良いでしょう。ガムを選ぶ際は、糖分を含まずキシリトールが配合されているものを選ぶと、虫歯予防にもつながります。
4.唾液腺マッサージ
唾液腺を優しくマッサージすることで、唾液の分泌を促すことができます。具体的な方法は後ほどご紹介します。
5.口呼吸にならないように気をつける
口呼吸(口で呼吸する習慣)があると、お口の中が乾燥しやすくなります。鼻炎などで鼻呼吸がしにくい場合を除き、できるだけ鼻で呼吸することを意識してみましょう。
6.リラックスする時間を増やす
リラックスしていると副交感神経が働き、さらさらの唾液の分泌が増えます。
ストレス下にあると、交感神経が活発になり、唾液の分泌量が減少してしまいます。なるべくストレスを溜めずにリラックスできる時間を確保するように心掛けてみてください。
唾液腺マッサージのやり方
唾液の分泌を促す方法として有効な唾液腺マッサージのやり方をご紹介します。
①耳下腺のマッサージ
人差し指から小指までの4本指の腹を、耳たぶの前あたり(上の奥歯付近)の頬に当て、後ろから前へ向かって円を描くように10回ほど優しくマッサージします。
②顎下腺マッサージ
顎の骨の内側の柔らかい部分に親指を当て、耳の下から顎の先にかけての3〜4箇所を、それぞれ5回ずつくらい、優しく押し上げるようにします。
③舌下腺マッサージ
両手の親指をそろえて顎の真下(舌の付け根あたり)に当て、上に向かって10回ほどゆっくりと押し上げるようにします。
【注意点】
- どの部位も力を入れすぎず、優しくマッサージしましょう。
- 唾液腺の腫瘍や炎症がある方、不整脈のある方(血圧低下を招く恐れがあるため)は、このマッサージを行わないでください。
- ご心配な場合は、事前に医師にご相談ください。
ドライマウスがご心配な方へ
ドライマウスは、原因が人によって様々なので、対処方法もそれぞれ異なります。また、お口の乾燥は、虫歯や歯周病のリスクを高めるなど、お口全体の健康にも影響を及ぼしかねないので注意が必要です。
ご自身でできるセルフケアを続けていただくことは大切ですが、「症状がなかなか改善しない」「自分の原因は何だろう?」「ケア方法が合っているか不安」など、ご心配な点や疑問点がございましたら、どうぞ当院へお問い合わせください。
ドライマウスのケアはもちろん、予防歯科による虫歯や歯周病を防ぐための定期的なチェックも、お口の健康維持には欠かせません。お口に関するお悩みは、ぜひ桜新町駅すぐそばの桜新町駅前歯科にご相談ください。